小池美波が前を向くまでの物語【B.L.T.1月号】

小池美波が前を向くまでの物語 インタビュー紹介

選抜漏れという絶望の淵から、彼女はどう舞い戻ったか?

※B.L.T.1月号(2019年11月) P36~43の「Face to myself」より

血の気が引いた選抜発表

彼女は9th選抜から漏れてしまったことが分かったときのことを「血の気が引いていくのを感じました」(P40)と語る。

もともと彼女は、自己肯定感が高いほうではなく、周りの評価などに繊細な傾向がある。「欅って、書けない?」でも「自分のすべてが嫌い」と言っているほどである。

また、8th「黒い羊」のフォーメーション発表があり、フロントに選ばれたあとのブログでも自分は自信になるものがないと書いている。→☺︎︎(2019.1.29)

そんな彼女からすると、前作フロントからの選抜漏れは大きなショックだったことは想像に難くない。自信がないと言っているところに、はっきりと結果を示されればガクッとくるものだ。

こういう結果が反骨心につながるというタイプの人間ももちろんいるが、欅坂のメンバーにはあまりそういうタイプがいない。彼女も選抜漏れしたからといって、その座をがむしゃらに奪うというようなことを考えるタイプではないだろう。

インタビューでは当日のことなどを詳しく語っているが、相当ショックだったことがうかがえる。結果ももちろんそうだし、自分の自信のなさからくる自責、ファンにどう顔向けすればいいのかという不安。それらがないまぜになって、苦しかったはずだ。

この絶望的とも言える状態でも彼女はそれと悟られることなくツアーをこなし、ラジオにも出て、けやかけの出演もしている。そこに至るまでの物語がこのインタビューだ。

涙と涙

彼女を絶望の淵から救うきっかけになったのは「涙」だった。自分の苦しさから流される涙と誰かのためを思って流される涙が合わさって、彼女は前を向くきっかけを得る。

この涙の主は1人は当然、小池美波。もう1人はある2期生である。

2期生は自分たちが入ったがために選抜が始まってしまったともいえるために、1期生の苦しい状態を見ているのは、かなり辛かったと思う。

また、もともと欅坂のファンだったという子が2期生には多く、欅坂ならではともいえる全員選抜への想いを強く持っている2期生もいた。

この辺りは個人的に知れて嬉しかったし、1期生と2期生が融合しながら、グループがまた別のかたちで力をつけているということなのだろうと感じた。

土生ちゃんの名言

先ほど、反骨心というワードを出したが、限られたスペースをめぐる争い、要は競争にひた走らせるのがこの反骨心だろうと思う。

しかし、本当にそれだけでいいのかという問いが現代社会にはある。

確かに競争にはメリットもあるし、経済などはその競争によって発展してきた歴史がある。これは否定できない。だが、そうではない選択肢があってもいいんじゃないかという潜在的な感情が大きくなってきていると個人的には思っている。

欅坂が従来のアイドルファン以外にも浸透している理由の1つに、この現代社会への投げかけをしているところがあるのではないかと感じる。個性を活かせ!自分を殺すな!そういうメッセージはある層には確実に届いている。

これはメンバーにも一定の影響を及ぼしていると思う。アイドルとして自分が目立つことよりも、グループのために何かがしたい。むやみな競争ではなく、個性を活かして貢献したい。そういう気持ちを欅坂のメンバーからは強く感じる。

そういうところから出てくるのが、土生ちゃんの名言である。土生瑞穂は物事を非常に客観的に見ることができる、視野の広いメンバーである。そして、彼女は自分の個性を理解し、それを表現する術にたけている。結成時から考えると、一番成長したと言っても過言ではないほどだ。また、小池とは「はぶみい」ペアと呼ばれており、とても仲が良い。

そんな土生瑞穂の言葉が、小池美波をより強く前に押し出したことがインタビューでは語られる。

これからの欅坂と小池美波

前を向きだした彼女を最後に動かしたのは、ファンの存在だった。

ツアー初日。仙台。ステージに立ち、ファンの前に立ったとき。

彼女は絶望の淵から舞い戻り、見ている人に元気を与える「みいちゃん」として、パフォーマンスをした。

ファンは欅坂から生きるエネルギーや楽しさなどをもらっている。同時に、彼女たちもまた私たちファンから得るものがある。

まだ欅坂は未完成だ。「停滞している」とメンバーからも、外からも声が上がるのであれば、なおさらだ。初めての選抜制という試みで何が起こるのか。彼女も「欅坂の可能性を探る時間なのかな」(P42)と語っており、これから大きく変わっていくのかもしれない。

そして、彼女がこれからどう変わっていくのか。倒れそうになりながら、何度もメンバーやファン、楽曲に支えられながら歩き続けるその先に何があるのか。

そんなことが、とても楽しみになるインタビューだった。ぜひ読んでみて欲しい。

B.L.T.2020年1月号

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