欅坂46の「黒い羊」と言えば、歌詞やMVから暗めなイメージを持っている人も多いと思うのですが、オフボーカルを聞いている分にはそこまで暗い気分にはなりません。
それはなぜか?を探ってみました。
キーはEなのかC#mなのか
楽譜などを買うと分かりますが、この曲のキーはC#mとされています。
mはマイナーを示していて、マイナーの曲は暗さや切なさを伴うメロディーやコードの響きを持つのが一般的です。
しかしながら、本当にこの曲のキーがC#mなのかという問題があります。
以下のサイトからコードを見てみてください。
確かに歌の初めはC#mなのですが、次はA、その次はBになっています。
コード進行の際には、ダイアトニックコードと呼ばれるものが使われることが多いのですが、C#mの場合、Bがこのダイアトニックコードに含まれていません。別に無くてもダメなわけじゃないんですが、このA→Bの進行は黒い羊ではしょっちゅう出てきます。
となると、C#mキーだと考えるのは、ちょっと違和感があります。
で、C#mとまったく同じ音程のセット(スケール)を使うのがEです。mがないので、これはメジャーを意味しています。メジャーは基本的に明るい印象をもたらします。
Eのダイアトニックコードには、AとBがきちんとあります。
ほかのコードも基本的にはEのダイアトニックコード内で進行するので、実質的にこの曲のキーはEメジャーと言ってもよさそうです。
これが黒い羊が明るく感じる要因の1つだと思います。
ただし、トニックコードと呼ばれるメインのコードはC#mなのでキーはC#mと言えます。曲の大事なところでマイナーのコードを使いながら、進行はメジャーキーのように行うというひねった不安定な感じがこの曲のミソなのかもしれません。
※キーが何かは明確な定義がないので、C#mでもEでもいいんですが、Eと考えたほうが個人的にはしっくりくる的な話です。
コード進行を見てみる
コード進行を見ると、Aメロでは
C#m A B
というパターンが多いです。
キーがEの場合、きれいな進行の1つがE A Bなのですが、EとC#mは音が似ているので、聞き手に似たような効果をもたらします。
なので、この進行はEキーのきれいな進行と言えます。
こんな感じで見ていくと、Eキーの進行が多く出てきて、重要なところではC#mが使われるというのが基本的なかたちになっています。
このため、全体的にハーモニーは明るめに聞こえます。
暗いようで明るい、明るいようで暗いのが魅力
私は音楽は専門ではないので、結構大ざっぱな内容になっていますが、黒い羊は全体的に明るめの進行が多いと思います。聞いていても、そう思います。
歌詞は暗め、でもハーモニーは明るめという一見すると背反している部分が私たちを惹きつけるのかもしれません。
また、もう少し大きな視点で言えば、主人公の「僕」を明るく包み込むようなメッセージもあるのかなという気がします。
というわけで、今回は黒い羊のコード進行について、ちょっと考えてみました。
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