欅坂ファンの混乱もだいぶ落ち着き、最近は「アルバムを出さないのか?」「映画はどうなった?」の2つが主なトピックになっている欅坂界隈ですが、今回はゆっかーこと菅井友香に焦点を当ててみたいと思います。
言わずと知れた欅坂46のキャプテンであり、ずっと欅坂を背負ってきたメンバーです。パフォーマンス面で引っ張ってきたのは間違いなくてちですが、それ以外の部分を支えてきたのは彼女です。
ゆっかーにとって、今回の改名がどんなものだったのか。
その本意は分かりません。彼女はいつだって、欅坂のスポークスマンとしてある意味で「きれいごと」を言う役割を背負ってきたから。
でも、彼女がいなければ、欅坂は早晩空中分解していたのではないかという気もします。
そんな菅井友香の本質は、「忍耐力」にあると私は思います。この忍耐力について、今回は考えてみます。
欅坂をもう少しだけ好きでいてくれませんか?
私はゆっかーのメッセージをとっていますが、確か日向坂がライブ(ひなくり)をやっていた日。唐突にあるメッセージが送られてきました。
有料のものなので、内容は細かく言えませんが、「欅坂愛」を感じるものでもあり、同時にファンが離れてしまうのではないかという不安を感じているのだろうと思えるものでした。
なぜ、この日にこのメッセージを送ってきたのか。私にはよく分かりません。何か内部であったのか、それとも日向坂のライブを見て何か思うところがあったのか、9th延期が発表された後でファンから何かを言われたり、そういう話が耳に入ったのか。
いずれにせよ、「何かがあった」のは間違いありません。
私はこのメッセージを見て、「苦しんでいる」印象を持ちました。
それでも、「欅坂は素晴らしいんだ」ということを切に訴えられるところにキャプテンとしてのプライドや誇りのようなものも感じたのを覚えています。
だからこそ、今回の改名問題がどれだけ大きなことだったのか。
苦しんで、苦しんで、それでも守ってきた「欅坂」を手放すことがどれだけ辛いことだったのか。推し量ることは不可能です。
しかし、そういうことをおくびにも出さず、「私たちは前を向いている」、「期待していてください」と言い切れる強さと忍耐力。これがなければ、欅坂はもっと不安定なグループになっていたと思います。
キャプテンとしての苦悩
私は前から「キャプテン=中間管理職」ということを言っているんですが、役回りとしてろくなもんじゃありません(笑)
大した権力はないけど、責任を負わされるのが中間管理職ですからね。
ファンのブログとかTwitterとか見ていると、キャプテンを「リーダー」のような視点で語る人が多いように思いますが、リーダーとキャプテンは違うと私は思っています。リーダーはビジョンを示して、こういう方向にやっていこうと引っ張っていく存在です。それがゆえ、整わない部分が出てくることもあるし、衝突を生む場合もあります。
管理職はそういうことを「どおどお」といさめながら、整えていくのが主な役割です。逆に落ちている人がいれば、それを支えていく必要もあります。同時に上(欅坂なら運営)からの命令を落とし込むのも重要な仕事になります。
このような過酷な仕事であるため、必要な存在ではありますが、中間管理職に向いている人というのはあまり多くありません。まずもってメンタルが強くないといけないですし、構成員から慕われる人格者である必要もあります。
「この人の言うことだから、聴くか」って思ってもらえないと、その組織は破綻してしまいます。
そういう意味で、彼女はキャプテンに向いていると思いますし、ほかに1期生で適任な人がいるかと言われるとあまり見当たりません。(ただ、キャプテンに負荷がかかりすぎているとは思いますが)
とはいえ、欅坂は繊細なメンバーも多く、個性が強いので、なかなかまとまらなかった時期もあるようです。
以前、秋元氏がいろんな人と話をするNHKの番組があって、欅坂からもゆっかー、ねる、ゆいぽんが出ていました。このとき、ゆっかーは珍しく、「上手くいかない」ことを吐露しています。
菅井「いや、正直、わたしは一応キャプテンをやらせていただいてて。この、まとまらないとか、そのすぐちょっと精神的に過呼吸になっちゃったりとか。やっぱりどうしても見え方とか、ファンの方を心配させてしまうとか。やっぱり『一つにならなきゃ!』みたいな、どうしても…」
秋元「そりゃあ、そうだよね。菅井はやっぱりそういう風に思うけども、ファンの人はちゃんと分かってくれてると思うんだよね。つまり、菅井が頑張ってまとめようとしていることも、まとまろうとしていることも。でも、それも含めてさ、たぶんファンでいてくれてると思うんだよね。なんかさ、例えば、こう嫌なところが見えて、初めてその人のことが好きだって言えるんだよね。だってほら、よく痘痕も靨(あばたもえくぼ)っていう言葉があるように、なんでも全部が良く見えてしまうっていうのはさ、ある種錯覚じゃない。でもさ、『欅坂ってこういうところがダメなんだよね』って言っても、それでも好きでいてくれるっていうのがいいと思うんだよ。粗が見えてるというか、そういうグループがいいと思うんだよね」
(2018年8月「秋元康の超プレミアム対談」<NHK・BS>より)
この会話からゆっかーが、まとまらない、見え方が良くない(これは2017の紅白のことが念頭にあるのでしょう)、一つになれないことに苦悩していることがうかがえます。
一方、秋元氏は「まとまろうとしているがまとまれないのは悪いことじゃない」と言います。完璧でないからこその魅力があり、そこにファンはついてきてくれているからだ大丈夫だよというようなことを伝えています。ゆっかーは話を聞きながら、泣いていました。
この辺は秋元氏のファン観も垣間見えて面白いですよね。彼は崇拝されるようなグループをつくることをおそらく是としていません。なんでもいいよいいよと言ってくれるファンではなく、「こういうところはダメだけど、それでも好きなんだよね」と言ってくれる強いファンを育てて、大事にしようとしているのでしょう。
こういう苦悩を抱えながらも、彼女はあきらめずに、キャプテンとしての役割をまっとうしようと、走ってきたのです。
グループの求心力
こういう忍耐力がグループに生じる遠心力に反発し、そこにとどまらせる力になってきたのだと思います。
「ゆっかーが頑張っているから」というのは、メンバーが必ずしも本意でないことを受け入れるトリガーになっていると思います。
私は欅坂がなかなか進めなくなってしまった理由を「欅坂らしさが明確でないこと」にあると考えています。
漠然としたイメージはあるものの、欅坂には「なぜ欅坂が存在するのか」を説明できるほどコア・コンセプトが固まっていないように思います。
この「コア」・「コンセプト」の弱さによるグループへの求心力の低さを補ってきたのが、「平手友梨奈」「菅井友香」「21人の絆」です。
平手友梨奈のストイックすぎるほどの表現者としての努力、菅井友香の苦悩しながらもけっしてあきらめず欅坂を信じる忍耐力、そして「21人なら乗り越えられる」という一種の物語。
これらが組み合わさって、欅坂はグループとしてのかたちを維持し続けてきましたが、1期生が抜け始め、2期生が入り、選抜制がとられるようになったことで「21人」という部分はもうとっくにありません。
そして、「平手の脱退」により、そこでの求心力ももう使えなくなりました。
残った最後のピースが「菅井友香の忍耐力」です。
運営はここに賭けたんだと思います。
失敗すれば、メンバーの大量離脱だって避けられません。
でも、「あれだけグループのために身を粉にしているゆっかーがいるのだから」という思いがあることで、そう簡単に卒業するわけにはいかない。もう少し頑張ってみようと思ってもらえるだろうと。
まだ完全に決まったわけではありませんが、この賭けはきっと上手くいったのだと思います。
同時に、これ以上キャプテンだけに求心力を依存するのは無理なので、何らかのかたちで新しいコンセプトを打ち出さなくてはいけない。そこでひねり出されたのが改名だったのだと私は解釈しています。(ことここに至ったという点で、マネジメントの失敗は明らかだと思いますが)
もし、欅坂に菅井友香がいなければ、グループのかたちはもっと全然違うものになっていたかもしれません。
汚れ役ゆえに
キャプテンはある意味汚れ役ですよ。
運営の言うことに従う存在でもありますし、欅坂が反抗してきた「大人」的な存在でもある。
上手くいかないことがあれば、ファンから批判されることもあるでしょう。
現にゆっかーはキャプテン向きじゃないと言われることもあります。
何かあれば、グループを代表してコメントするし、そのコメントはオフィシャルな意味合いも持つので、軽々しく話すわけにもいきません。
そんな難しいポジションで耐え続けてきた菅井友香という人物を、私は尊敬しているし、これからも応援していきたいと思っています。
ずっとゆっかーがいるわけではないし、いつかはキャプテンの交代などもあるでしょうが、もう少しだけゆっかーに頼ることになりそうです。
※加入当初から「がんばりき!」を使い続けているところも、彼女の忍耐力がよく出ているなと思います(笑)
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