乃木坂の新曲、「Actually…」が色んな意味で話題になっていますね。
その中でオリジナルパフォーマンスが「欅坂っぽい(あるいは櫻坂っぽい)」と言われているのを多く目にしたわけですが、古参ではないものの欅坂からファンをやっている私からすると、Actuallyに欅坂要素はほぼ感じませんでした。
私は乃木坂に関しては楽曲は聞くし、メンバーの顔と名前は基本一致していますが、例えば乃木坂らしさとはなにか?みたいなことを語れるほどの熱量は持っていません。
しかしながら、欅坂らしさとは何かについては持論に過ぎませんが、それなりに書くことはできます。
というわけで、今回は欅坂らしさとは何だったのか、そしてActuallyは何が違うのかについて書いてみたいと思います。
そのうえで、外野の視点からActuallyについても書いてみています。
私の考える欅坂らしさ
私の考える「欅坂らしさ」は「ヒロイズム」です。
日本語で言えば、「英雄主義」。
要は欅坂は、ファンにとって「英雄」だったのです。
私たちの苦しみや葛藤を私たちに代わって世の中にぶつけてくれる英雄、ヒーロー。
だからこそ、彼女たちは、あるいは彼女は満身創痍になっていってしまったわけですが。
パフォーマンスにおいては、その象徴として平手友梨奈という存在がいました。
彼女のパフォーマンスにはリアリティと気迫があります。それは本当にそう思っている、あるいはそこに自分を落とし込めているからでしょう。
ドキュメンタリーでTAKAHIRO先生が「背負い人」という表現を使っていましたが、まさにそうで、欅坂時代の彼女は私たちの持つ苦しみを背負って、立ち続けていたように思います。
欅坂らしさとして、センターに集中したパフォーマンスやカメラ割り、他のメンバーがバックダンサーみたいになるという特徴をあげる方もいますが、私の考えでは、それは選ばれた手法であったに過ぎません。
欅坂のパフォーマンスは演劇的要素が強く、主人公を中心としたストーリー的なものとして描かれることが多くありました。そのほうが、苦しみを背負い、世の中にぶつけるというメッセージがより分かりやすく届くからです。
したがって、主人公であるセンターが目立つように他のメンバーの動きを決めていくことになるわけで、そうするとバックダンサーのように見えるという部分が出てきます。
ただし、本当にバックダンサーであったのかと言えば、私の持論ではNoです。
てち(平手)が一人でパフォーマンスしていても、同じような現象が起きたかといえばそれは難しかっただろうと思います。
てちが一人では出せないものが、グループでは出ていたのです。(同時にグループとしても、てちがいたからこそのものもあった)
したがって、バックダンサーなどという格下の表現をされるのは、私からすれば心外です。
当時のてち以外のメンバーは、楽曲のメッセージを伝えるための役割をセンターと全く同格にこなしていたと私は考えています。
そして、それは平手友梨奈の優遇ではなく、表現を突き詰めた結果の必然だったと思うわけです。ゆえに、この表現手法自体が欅坂らしさだとは私は思いません。
私が考える欅坂らしさとは、あくまでグループ、そしてセンターがヒーローのように私たちの苦しみを背負ってくれることなのです。
Actuallyは?
では、翻ってActuallyについて考えてみると、ヒロイズム要素はほとんどありません。
センターの中西さんは声が特徴的であり、それまでの乃木坂の雰囲気とは異質なものを持っていることは確かです。
でもそれは、多くの人が言及するような平手友梨奈のそれとは違う。
そして、ヒロイズムでもない。
Actuallyにおいて、誰が何の苦しみを背負っているのでしょうか?
これは乃木坂の苦しみだと私は思います。
Actuallyは「本当はね、実はね」みたいな意味ですが、「実は、嘘ばかりついている私を私は嫌いなんだ」という意味だと私は解釈しています。
乃木坂は、清楚で上品で、歌詞の多くに内向的な僕や誰かの理想である君が出てくるという固まったイメージがあります。
でもそんなのは、虚構なんだと。
私たちにだって、もっと色んな黒い部分だってあるんだと。
その叫びを引き出す劇薬として、最も異質な中西さんをセンターにして、乃木坂だってもっと色んなことを表現したいんだというメッセージを伝えようとしたのではないか、というのが私の考えです。
欅坂の受け手の苦しみを背負ったものではなく、自分たちの闇を出そうとしたという意味で欅坂とは明確に違うと私は思います。
問題は
ただ、そういう意味で言うと問題があるとも思います。
まずもって、メンバーが本当にその苦しみを覚えているのか?ということです。
乃木坂らしさへの息苦しさみたいなものが、果たして彼女たちにあるのか。
私が傍目から見ていると、あまりそれを感じたことはありません。
というのは、乃木坂はもう主力が3期生、4期生になっていますが、彼女たちは1期生や2期生が作り上げてきた乃木坂に憧れて入ってきているわけですよね。
だから、乃木坂らしさを捨てたくないというのは何となくあると思うんですよね。
したがって、今の彼女たちを見て作られた楽曲にはちょっと思えないというのが、私の持っている印象です。
上から、強制的に変えさせられようとしている感じがあります。
秋元さん(キャプテンのほう)が「周りのメンバーも昔からいるということもありますし、そこのメンバーで、『乃木坂』っていうものに、あの曲をしていきたい」とラジオで言っていたとネット記事で読みましたが、このへんからも彼女たちにそういう不満や焦りみたいなものが本当にあるのか、やや疑問だなあと思って見ていました。
また、中西さんのパーソナリティがまだあまり分からない中で、乃木坂の苦しみを彼女に歌わせることはちょっと難しかったのではないかとも思います。
彼女は乃木坂の苦しみを入ったばかりで知る由もないからです。リアリティが出ないのではないでしょうか。
彼女の歌声や持っているオーラは確かに人を引きつけるものがあると思います。才能はきっとある。
だからこそ、もっと彼女を大切に使うべきだったのではないかと、not乃木坂ファンからすると感じます。彼女を活かすための方法は他にもあったのではないでしょうか。
私はCD買っていないので見ていませんが、Twitterで流れてくる感想などを見ている限り、オリジナルMVでは中西さんを乃木坂を壊す存在のように扱いすぎだと思います。(Twitterの感想が公平ではないかもしれませんが)
それは運営にとって都合がいいだけで、彼女のことを考えているようには見えません。乃木坂をシフトチェンジする際に起こる衝撃を、中西さんに全部おっ被せてしまおうという感じすら覚えます。
46時間TVで見ている限り、変わった子なんだろうなとは思いましたが、一種の恨みつらみとか、破壊的な雰囲気は感じませんでした。
それよりも、不器用で、何かに怯えているような感じのほうが印象にあります。そういう意味でも、もっと大切に使うべきだったのではと勝手ながら思います。
また、パフォーマンス自体もそういうメッセージ(乃木坂の変化)を端的に伝えるものにはなっていない印象です。内部で色々と解釈に違いが出ているのではないかとも感じました。
そもそも、私の解釈がまったく間違っているのかもしれませんが。
いずれにせよ、誰に向けて、何を歌うのか、何を伝えたいのかがイマイチ統一されておらず、ふわってしていることがこの曲の評価が上がりきっていない要因であるように、外野からは感じます。
乃木坂にとってこの曲が良かったのかどうかは、ファンでない私には分かりませんし、それは未来のファンが決めることだと思いますが、それぞれの人たちが、それぞれの思惑で楽曲を扱っている印象を持っています。
でも、もっと楽曲やメンバーを大切にしないといけないんじゃないかと思ってしまいます。
曲だけを見れば、別に悪い曲ではないと思いますし、46時間TVで見たとき、オリジナルパフォーマンスも乃木坂らしい、魅せるようなしなやかな感じはちゃんとあって、欅坂や櫻坂とはやっぱり違うなあと感じました。
積み上げてきた歴史や色はそう簡単に消えないし、消そうと思ったって漂ってしまうものだと私は思っています。
私には、あのパフォーマンスはちゃんと乃木坂として見えていました。
欅坂っぽいという記号
今回の話を見聞きしていて、欅坂は「Notアイドル的なもの」を示す記号として、捉えられているんだなと感じました。
欅坂のファンですら、そういう言い方をしていたので、「マジか」と私は思いましたけれども。
ある意味でそういう記号化される稀有な存在であったんだなと思うと同時に、私たちは彼女たちの歩みの表面ではなく、中身をちゃんと受け止めなきゃいけないんじゃないの?とも思います。何を伝えようとしてきたのかとか。それが欅らしさなんじゃないのっていう。
乃木坂に関しては、ふわっとした知識しかないので、「全然ちげーわ」と乃木坂ファンには思われるかもしれませんが、それはもうホント許してください。
私はしがない櫻坂(欅坂)ファンなので。
でも、欅坂っぽいというのを、ある種否定的に使われるのは、欅坂ファン的にはあまり嬉しくはありません。私たちは、あの雰囲気に誇りを持っていたし、今も大切に思っているからです。(逆に、私は今の櫻坂を乃木坂っぽいとも思わないんですけどね)
ちなみに、どうしても欅坂っぽいという視点で見たいならば、29thでは「深読み」が欅に唯一近いかなと思います。でもあれは飛鳥ちゃんのことっぽいですよね(笑)
乃木坂には、長い歴史と積み重ねがあるわけですし、変わったように見えても、変わらないものもあるわけですので、そう焦らなくてもきっと大丈夫なんじゃないでしょうか。
メンバーも、ファンも、そして楽曲も、幸せになれる未来が来たらいいですね。
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