私は今のファンの雰囲気には少々危機意識を持っています。
色んな意見が出ることは健全と言えば健全ですが、私が問題だと思っているのは、その方向性がバラバラであることです。
例えば、具体的にこれがダメだとか、これが良いとかなら、まあ好き嫌いもあるので仕方ないかなと思いますけど、「グループの方向性」に統一的なものがないことに危機意識を感じます。
で、これは運営がはっきりしたビジョンを指し示していないことに起因していると思います。
そろそろ、運営は櫻坂で何を目指すのかをある程度指し示すべきではないでしょうか。
今回はそんなお話。
ファンはバラバラだ
前に私は「櫻坂は世界を目指しているのではないか」というようなブログを書きました(その記事)。でもこれはあくまでメンバーのコメントや出てくるものからの推測であり、私の願望です。
実際にそうなのかは分かりません。
ファンは今、櫻坂を見て、バラバラのものを感じ取っています。
欅坂路線をやってほしい、いやいやアイドル曲やってほしい、楽しそうなら何でもいいよなどなど。
どうやったってファンの意見が統一されることは当然ないでしょうが、あまりにもバラバラです。運営がコントロールできていません。
欅坂のときは大なり小なり明確なコンセプトがあり、それを実現するクオリティもあったので、「かわいい曲やってほしい」と思っていても、ライブとかでパフォーマンスを見れば「でもやっぱり欅はこうだよね!」となって、結果的に大多数は同じ方向を向くことができていました。
でも今はそれがありません。曲もみんな種類が違うので、櫻坂と言ったらこうだよねというイメージ付けはほぼ不可能になっています。
メンバーが言うように、幅を広げるというのは良いと思います。
しかしながら、幅を広げるには軸の存在が必要です。
軸がないのに幅を広げると、単に手当り次第にやっているだけになってしまいます。
欅坂のときは「ザ欅坂!」があるからこそ、違う曲調の楽曲がとても映えたわけです。
では櫻坂は一体何が軸なのか?
それは私にもまだはっきりとは見えていません。
メンバーにも見えていないかもしれませんが、パフォーマンスに軸を置きたいというメンバーが今は中心にいるのかなと思っています。
でも、このままだとファンから上がってくるニーズの方向性がバラバラ過ぎて、メンバーも何を目指したらいいか分からなくなってしまうでしょう。
またバラバラなので、グループへの求心力が低下してしまい、メンバー推しのファンばかりになってしまうリスクもあります。こうなると内輪コンテンツになってしまうので、それ以上の発展が難しくなります。
もちろん、今がそうだとは思っていませんけどね。
いずれにしろ、根本的な方向性をめぐってファンが言い争いになっているのは、あまり健全には見えません。ここは運営が何かしらの方向性を示したほうが良いと思います。
軸は運営が示すべきだ
で、これは私の持論で、このブログでも何回か書いてますが、アーティストの世界観はそのアーティストが形づくるべきで、ニーズを拾うべきではありません。
アーティストがファンを「付いてこい!」と引っ張っていかないといけないんです。というか、人はそれに惹かれてファンになるんです。
アーティストという船の船頭は、ファンに任せてはいけません。
ファンは好き勝手なことを言うし、当たり前ですが好みも千差万別なので、そんなことしたら迷走必至です。
「これだ!」というのを打ち出したとき、ついていけないファンも出てくるでしょう。しかし、そこについていけないファンは残念ですが、置き去りにするしかありません。こう書くと残酷ですが、その人もまた別のものを好きになったりするものです。
また、櫻坂のようなグループはセルフプロデュースではありませんので、それをメンバーに委ねるのも難しいです。やはり、運営が指し示さなくてはいけません。
ですが、今は制作物から、そういう類のメッセージはあまり感じません。
ただ、MTV INSIDEやメンバーのコメントなどを見ていると、中心メンバーはパフォーマンスにこだわりを持っているのかなと思っています。でも軸になりそうなのは、それくらいです。
さて、もう一つの問題は新規ファン獲得問題です。
なぜ恋のハネはギャップが主要要因
1stのときに一番はねた曲はなぜ恋でしょう。これもあり、なぜ恋っぽいのが櫻坂にはいいという声もありました。これで新規ファンをつかめるかも的な期待もあったかもしれません。
しかし、なぜ恋がはねたのは、楽曲そのものやMVが特別に秀でていたというよりは、ギャップが主たる要因でしょう。
普段ミステリアスなセンターの夏鈴ちゃんが笑顔いっぱいであったこと、また夏鈴ちゃんのイメージとは遠い歌詞であったこと。以前の欅坂では絶対になかった楽曲であったこと。
これはインパクトがありました。また、彼女の笑顔には人を惹き付けるものがあるというのも理由かもしれません(私が好きなだけ?)。
でも、ギャップはギャップなので、その効果は一回しか使えません。
ギャップは飛び道具です。
だから、これをもとに今後を考えても、きっと上手く行きません。
そして、ゲットした見込みファンをファンにするシステムがなければ、まぐれは軸になり得ません。
実際、なぜ恋の反響を受けてか、BANのMVはなぜ恋の監督さんを起用しましたが、あくまで数字的にはなぜ恋、ノバフォを下回る水準になっています。(これは色んな理由が考えられます)
なので、まあ軸にはならなかったのかなという感じです。
ライトファンの減少?=ブランディングの弱さ
データは色々と不足しているので確たることは言えませんが、お金をたくさん使う(=握手会やミーグリの大型顧客)ファンの動向が強く出るであろう初日売上は、ガラスを割れをピークに欅坂時代から下がっていて、下げ幅はずっと拡大していました。
しかし、今回も数字は下がったものの下げ幅を大きく縮めましたので、コアなファンの流出はひとまず止まったのかな?と感じています。
一方でライトファン(曲だけ聞くファン〜握手会やミーグリには消極的なファン)の数はトータルではおそらく減っています。2日目以降のCDの売上は1stより減っているし(減り幅の減少もありません)、MVの再生回数も欅時代はもとより、1stに比べて伸びていません。
これは櫻坂に色がないため、ファンが付きにくいこと、欅坂時代のファンが離れていることに起因していると考えています。
私もどちらかと言えばそうですが、欅坂のファンは楽曲に惹かれていた人が多いです。もちろんパフォーマンスはありますが、パフォーマンスも楽曲が前提です。
売上的な意味ではひとまず曲を出して、アイドル文脈でのビジネスである、ミーグリや握手会目的でCDを買ってもらえればいいのかもしれませんが、それでファンやメンバーが納得するかと言ったら、Noでしょう。
特にメンバーが納得しないんじゃないでしょうか。欅坂で大事にしてきたものがありますからね。
とにかく、今の櫻坂はブランディングが弱いので、ライトファンが付きにくくなっています。どう楽しんだらいいか分かりづらいと思うんですよね。
例えばストリーミングで「BAN」がいいなと思っても、BAN的な曲は2ndには入っていません。櫻坂になってからは、特に各曲のテーマなどが独立気味で、グループとしての一貫性が少ないんですよね。
私なんかはもうみんなのこと娘くらいの感覚なので、「全部いいよ〜」とか思っちゃいますけど(笑)、これで初見の人に櫻坂というグループそのものに興味を持ってもらうのは難しいと思います。
仮にある楽曲のファンになってもらっても、グループに軸がないので、その気持ちをグループ全体に広げてもらうのが困難なように思えるのです。
欅坂のときはそれが少なからずありましたので(例えば、社会への不満の代弁)、グループのファンにすることができたわけですけど。
櫻坂には「見込みファンを獲得した後で、どうファンになってもらうか」という仕掛けが弱いように思えるのです。特定メンバーのファンになる可能性はありますが、メンバーについたファンはそのメンバーの活躍次第で熱量が大きく変動するので、大事な存在ではあるものの、あまり多いと経営的に不安定化要因になります。
まあ要するに、可愛い女の子たちが色んな曲を歌ったり、踊ったりするだけなら、新しい人にとっては櫻坂でなくてもいいわけで、そこを「櫻坂じゃなきゃ味わえないものがある!」と提示しないといけないのですよね。
もしパフォーマンス路線ならば
もし、その明示するものが、前に私が書いたような高クオリティ・高表現のパフォーマンスならば、櫻坂のメンバーが持っているクリエイティブでアーティスティックな雰囲気を活かした楽曲・MV制作、プロモーションなどが必要でしょう。
同時に今は色を付けないようにしている理由を、どこかで明確に語る必要があるように思います。
運営側のコメントでもいいし、負担かもしれないけどインタビューなどでゆっかーに代弁してもらうかたちをとってもいいですが、今の「何色でもない」というかたちは普通に考えればずっとは取れません。
いつかは何か色を付けなればいけないはずです。ここで言う「色」は曲調に限らず、テーマやコンセプトかもしれません。
もし今がその色を付けるための準備期間なら、それを伝えてほしいのです。
実際、リアルサウンドのインタビューでは、うえむーが『いろんなジャンルの曲に挑戦できているからこそ、「櫻坂46といったらこれだよね」という個性をまだ確立できていない気がしていて。』と語っています。(リアルサウンドインタビュー)
単純に幅を広げたい、チャレンジをしたいでは(メンバー個人の目標としては良いと思いますが)、グループとしての軸ができないので、ジリ貧になる可能性が高いです。グループ的には幅を広げた先のシナリオが必要です。
だからこそ、運営には「櫻坂はこういうものを目指す!」というビジョンを示してほしいのです。
それは欅坂時代より広く、しかし具体的なものでなければいけません。欅坂のときは結果的に狭くなってしまったのが、活動を苦しくしていく要因になりましたので。一方で過度に抽象的では意味がなく、ある程度具体性が必要です。
例えば、櫻坂という名前を発表したときに使った「欅坂を超えろ」は抽象的過ぎます。もしこれを使うなら、欅坂の何を超えるのかを明確にしないといけないでしょう。
とにかく、そういうビジョンを出すことでメンバーもどう活動すべきかが明確になりますし、ファンとしてもグループへの求心力が生まれることになると思います。
そして、もし前の記事で書いたように、目が世界に向いているなら、ミーグリやYouTubeの海外ファンの扱いはもっと真剣に考えるべきですし、より海外の方にも楽しんでもらえる工夫が必要です。また、よりクオリティを上げていく必要もあるでしょう(私はパフォーマンスは専門外なので何となくですが)。
とかいって、運営は全然違う方向を見ているかもしれませんが(笑)
少なくとも今のメンバーがいる限りはどうなっても応援しますが、新しいファンが増えてくれた方がやっぱり嬉しいですからねえ。
現状の「どこに向かっているんだ?」とファンもよく分からない状態は好ましくないので、ビジョンとまでは言えなくても、何らかの方向性は示してほしいなと思います。
おわりに
長々と書きましたが、以降は私の願望です。
基本的に私は曲がどうこうというよりは、彼女たちが持っているパフォーマンスへのこだわり(楽曲のメッセージを伝える)を活かしてあげてほしいなと思っています。
これは欅坂時代に培って、彼女たちのアイデンティティに近いものになっていると思うので。表面的に欅っぽい必要は全然ないと思いますが、そこにこだわり続けてほしいなという願望はあるんですよねえ。
だから、この前のCDTVのBANはすごく良かったです。表現欲求をすごく感じました。演出もそれに応えてくれていて、嬉しかったです。
2ndのMVなら偶然の答えですかね。感情がよく伝わってきました。夏鈴ちゃんの泣き、武元ちゃんの表情とか。
結局私は楽曲を通じて、メッセージを表現しようとする彼女たちの「強い気持ち」にいつも惹かれてるんだと思います。
欅坂のときから、ダンスをしているというよりは、みんなのスタンスがお芝居に近いので、余計そう思うのかもしれません。
欅坂のときはそれが楽曲の影響もあってカッコいい方向に行ってたわけですが、それは楽曲の問題で、曲によって違うのは当たり前です。
パフォーマンスや作品としてのクオリティを第1の価値とするという価値観を突き詰めることで、一番櫻坂らしさが出せると私は思っています。
櫻坂を応援すれば、ただ可愛いだけじゃなく、パフォーマンスや作品で心ゆさぶられる経験が味わえる。これが櫻坂の最大の武器なんだと、これからファンになる人に訴えられると思うんですよ。
だから、それを軸にしていってほしいというのが私の願望です。
そういう意味で、前も書いたように櫻エイトなどはクオリティをどの曲でも維持できる&クオリティを高めるための競争や人選に使えるということで、比較的肯定的に見ています。不満も理解はできますけどね。
それでも、グループとして「パフォーマンスや表現」を絶対的な価値とすることで、グループとしてフラフラすることは避けられるはずです。(2ndの人選はこの文脈だと私は今のところ解釈しています)
いい意味でファンの言うことは聞かずに、突っ走ってほしいです。
彼女たちなら、それができると私は思っているのです。
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